1985年生まれ、東京工芸大学芸術学部を卒業、2011年にグーパ株式会社を設立し代表取締役社長に就任した平皓瑛さん。平さんは、弊社の代表である山田と面識があることもあり、「顔の見えるサービスを使っていきたい」という思いから、長年Conyacをお使いいただいています。今回、運営サービスAnipipo(アニピポ)を通し、アニメーション制作を担うクリエーター支援に対する熱い思いをお話くださいました。
Anipipo(アニピポ)とはどのようなサービスなのでしょうか?
アニメーション分野に特化したクラウドファンディングつまり、オンライン上で出資者を募りお金集めをするプラットフォームです。つまり、クリエイターとファンをつなぐ“ハブ”としての役割をしています。
クラウドファンディングというと、お金を調達するという事が一番重要視されがちですが、金銭的な側面だけではなく、クリエイターさんとファンをしっかりとつなぐ事によって、クリエイターさんがどういった事をやりたいのかという事を企画の一番最初から伝えてあげることが大切だと考えています。
さらにそこから、僕らは色々なメディアの方にアプローチするところもさせていただいてます。プロジェクト起案する方に文章を用意していただき、プレスを出すのですが、基本的に海外メディアへのアプローチは僕たちでやらせていただいています。
クリエイター・出資者共に、海外の方は多いのですか?
現状、アニピポが日本とバンコクを拠点として動いていますので、クリエイターはその2カ国にしぼっています。しかし、支援者の方は様々でして、今は日本・タイ・シンガポール・フランス・アメリカ・さらにはブラジルという8カ国から参加してもらっています。
アクセスで言えばアラブからもありますね。
animearab.comというサイトに掲載されたのですが、これが何が書いてあるか全く分からない状態でして、唯一「Anipipo」という文字だけが分かるという(笑)他にも色々なところに掲載していただいて、日本のアニメーションを支援したいという方から、実際に参加していただいています。
クリエイターとファンとの距離が縮まることでどのようなことが可能になるのでしょうか?
今まではガッと一気にお金をかけて、制作して、リリースして、そこでようやく反応が得られるという感じだったんです。つまり制作段階では、実際に売れるのかどうか分からないんですね。特に映画は何億とかかりますし、30分のアニメであっても1話作るのに1500万から1800万くらいかかってしまう。つまり、売れるかどうか分からない状態で始めるには、どうやってもリスクが高いんです。なので今の流れとして、原作がしっかり売れている漫画などをアニメ化することが多いんです。そうなると前衛的な5分10分の面白いアニメーションなんてなかなか作る事が出来ないんですよね。
今後スマートフォンとかタブレットが普及することによって、短めのコンテンツのニーズが今より一層高まると思うのですが、今の仕組みだと、それに対するお金を集める事は出来ないんです。ちゃんと回収できるのか?KPIは?なんて言われても、5分10分のものでどう答えれば良いのか・・・、例えその後DVDにするっていっても5分のものなんて買わないしなっていう。そういった中で、オリジナルなアニメーションを作るために、短い尺の作品を足がかりにして、次のステップに移行するための、コミュニケーションツールとして、僕らが最初の受け皿になれたらなと思っています。
制作ソフトの普及でいろんな人が“プロ”を目指せると思いますが、アニメ業界の実情はいかがでしょうか?
20年30年の間、月収数万円という生活を続けてようやく一人二人が監督になれるかどうか、しかもそこから売れるかどうかは別の話、という状態で・・・。サクセスストーリーしか注目されませんが、まだまだ難しいです。なによりも、お金があって、スキルもあって、作ったけれど、そこから誰にどこに持っていけばいいのか分からないという事も、問題でした。それが今はインターネット上に公開する場が出来てきていますので、そういったところとつなげていくのも、必要だと思っています。
アニメ業界から見る、現在もっとも“熱い”国とは?
宗教上の問題で、日本のアニメをそのまま出すのが難しいものの、今は結構中東が熱いんですよ!
アラブ人が企画して、日本人が描いた漫画があるんですが、ものすごい人気なんです!アラブの人はお金を持ってはいるのですが、使うところがないんですね。宗教上お酒も飲めないですし、女性のメイクにしても目元だけですし、そうなると娯楽にお金を使う事になるんです。漫画カフェみたいなものがあったり、アニメーションが好きな人は気軽に出資をしてみたり・・・。そのわりに、イスラム教しかないとか、危ない国だとか、割と日本人はステレオタイプな考えが多くて、市場が開拓しきていないというか。そこが穴場だったりするようですね。なので、今後はConyacでもアラビア語の利用が増えていく気がしますね。
実際、どのようにConyacを活用されていますか?
基本的に日本語と英語で文言を用意していて、プロジェクト起案者に日本語で文章を作成してもらって、そこからConyacさんを使わせていただいています。あと、メインとしてはウェブサイトのローカライゼーションと、プレスリリース時に使っていますね。
Conyacさんの良い所は、やはりスピード感です。ちょっとしたものなら、ホント30分とか1時間で翻訳をもらえるので助かります。僕は小中高とシリコンバレーに住んでいた事があるので、英語に関してそんなに問題は抱えてないんですが、各プロジェクトページを全部自分で翻訳するとなると、とても時間がかかってしまうので、時間節約のためにConyacさんを使わせてもらってます。
あとは、翻訳を二つもらえるという事も気に入っています。出てきた二つの翻訳から、自分でいいとこ取りして、最終的な文章を作っている感じですね。
どのような方にConyacをお勧めしたいですか?
プロジェクトが進んでいくと、出来上がったアニメーションを映画祭に出したりすることもあるのですが、その際に英語の字幕どうするの?という事があるんですね。字幕に関しては、プロジェクト起案者側にお願いするのですが、これがちょっと高いわりに、コンマの後にスペースがないとか、小さなミスもありまして・・・。今後日本のアニメーションを海外に出すことを考えると、こういった所にニーズはあるんじゃないかな?と思います。
クリエイターさんによってではありますが、各技術はすばらしけれど、語学は・・・っていうこともありますし、プロモーション周りやお金集めが出来ないところなど、クリエイティブ部分を上手く見せてあげて、ファンをつなげてあげるという。 そのあとの展開として、海外に持っていくときの英語化だったり、パンフレットの作成だったりとか、確実に翻訳が必要な場面は出てくると思いますので、そういった方々には是非おすすめしたいところですね。
実際、プロジェクト起案した瞬間から、結構海外のファンからのお問い合わせがくるんですね。なので起案者から「どうしたらいいの?」とか聞かれるので、率先してConyacさんをおすすめさせていただいています。いろんな方が使う事によって、僕自身にとっても使いやすくなると思っているので、一緒にがんばっていければ良いなと思っています。
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- インタビュアー:中野美穂
- 撮影者:橋本拓也
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